錦織圭が全仏直前にして「またも初戦敗退!」その原因とは?

全仏オープンの最終ステップとなる2020ハンブルクヨーロピアンオープン。

錦織の活躍を期待するファンも楽しみにしていたと思いますが、またしても初戦敗退となってしまいました。

相手のクリスチャン・ガリン選手も、ノーシードながら今年に入ってツアーで2勝を上げている強敵でした。

誰もが錦織のプレーを見て、試合ごとに上り調子になってきてる気配を感じていましたが、今一つ一定レベルの相手を崩しきれない感じがしました。

ダウンザラインが決まらない

全仏オープンに備えて調整していた錦織も全仏オープン前の最後の大会となりました。

この最後の3大会目が、錦織にとっては一番ミスが多いプレーとなってしまいましたが、復帰してからの3大会の中で一番ランキングが高い選手との対戦でもあります。

試合中に調子の波はあるものの、ダウンした調子を通常レベル近くまで戻しているのですが、それ以上にならないのです。

そのため一定以上のレベルの相手に勝ちきれない試合が多いのです。

ファーストセットは、錦織のエラーの多さと相手の精度の高さもあり、錦織も久しぶりの0-6となってしまいました。

錦織も効果的なショットを打ち込んで攻めても、逆にカウンターショットを食らってしまう展開でした。

何をやっても上手く行かなく「どうしたらポイントが取れるのか?」悩んでいる様子がうかがえました。

ただ、人間なので誰にでも調子が悪いことはあるもので、冷静さがあれば調子は戻すことも出来るのです。

ゲームの中では、必ず調子の波があるもので、冷静でいることが調子がダウンしても挽回できる可能性が出て来るのです。

しかもテニスは基本的に最初から最後まで調子の良い状態が続くことはないので、経験豊富な錦織は、セカンドセットに入り「へこむ事なく落ち着いた様子」でプレーしていました。

錦織もセカンドセットに入り、相手のミスからチャンスを活かし5ゲーム目で相手のサービスゲームをブレークしてリードを奪うなど、ほぼ互角の状態になりました。

しかし3セットなので、このセットを「落としたら負け」の状態と、このセットを落としても「ファイナルセットがある」では思い切りの良さが変わってきます。

セカンドセット中盤にはチャンスがあったものの、錦織のミスで挽回されたことに加え、良い形で攻撃が出来ていても最後の決め球が少しアウトになってしまうのです。

1ポイント取れると大きく流れが変わりそうな場面の1ポイントがどうしても取れないのです。

復帰して間もないこともありますが、右肘の故障前と大きな違いは、欲しい場面でポイントを手に入れられない事が多くなりました。

元々錦織のゲーム展開は、サービス力でグイグイ押す外人選手のように、サービスを確実にキープするタイプではなく、サービスゲームを落として2~3ゲーム離されても直ぐに追いつける展開が多いスタイルです。

数ゲームを取られても、集中して立て続けにゲームを取り返すことが出来るのが錦織の持ち味でもあります。

ただ、今は調子が上がっていても本調子ではないので、仕方がないことかも知れません。

右肘の故障から復帰して、ここ何試合かは調子も上がってきていたのですが、クロスラリーからポイントをもぎ取るバックのダウンザラインだけがもう一つなのです。

今はダウンザラインもミスをしていますが、打っているうちに細かな感覚を取り戻してくるので、入りだすと気持ちが乗りだして大きく変わるように思います。

ツアー2勝のクレー巧者

相手のガリンはチリ出身の24歳で、クレーコートを一番得意にしている選手なのです。
世界ランキングも現在22位でキャリアハイが18位(最高ランキング)で、なんとノーシードです。

今年はツアー優勝を2回しており、2週連続で優勝する実力のある選手です。
驚いたことに、決勝の相手は先日のイタリア国際オープンでナダルに勝って準優勝したシュワルツマンに勝って優勝しているのです。

決してレベルが低い選手ではなく、次の全仏オープン(クレー)でも上位に食い込む可能性がある選手なのです。

攻めのスタイルを貫く錦織圭

クレーコートの厄介なところは、土が盛り上がりイレギュラーがある為、どんなバウンドに変化するか分からないのです。

クレーを得意とする選手の多くは、比較的ベースラインから離れてストロークを行い、イレギュラーにも対応できる位置から余計なミスをしないようにしているのです。

ボールにスピードのある選手と対戦すると、ボールが速い上にイレギュラーで変化することもあるので、ベースライン近くに立って早いタイミングで返球する錦織には対応が難しくフレームショットなどのエラーも出やすいのも事実です。

この試合でも、イレギュラーによってバランスを崩して打つ場面が多く見られました。

ただ、日本人の小さな体格で外人のパワーに勝つには、テンポの速い攻撃で時間を奪わないと勝ち目がないのです。

今は復帰間もないため負けることが多いですが、錦織のやっているプレースタイルは効果的なスタイルなので調子が戻る事を期待しましょう。

今の錦織には今年の結果よりも、来年に向けて調子を取り戻すことが最優先かも知れません。

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