シングルスやダブルスなどのボレーでは、フラットとスライス回転のどちらも使います。
それは、状況によって使い分ける必要があるのです。
フラットボールもスライス回転も、どちらの球筋もボールに特長があり、その場面によって最も効果のある球筋を放つことが、ゲームを有利な展開で進められるからです。
フラットボールは回転をかけない分、ラケットに当てやすくスピードも出しやすい球筋で、スライス回転は回転の影響によりボールの飛びを抑えられて、バウンド後に変化が加わる球筋です。(返球しにくいボールになります。)
例えばスクールなどで、コーチがボレーやストロークで返球するときに、ワザとフラットボールにして返球します。それは、テニス経験が浅い人でも返球しやすいバウンドになるからです。
そのため、フラットとスライス回転のメリット・デメリットを理解して、球筋を使い分けることがお勧めです。
今回は、ボレーを打つときに「フラット」と「スライス回転」のどっちを打ったら良いのか悩んでいる方向けに、詳しく紹介します。
目次
レベルによって覚える段階がある
ボレーを覚える目的は、ミスを少なくするための「安定感」と、バシッと(気持ち良く)叩くような「攻撃」を行えるようにすることです。
前述したようにレベルアップするには、どちらのボールも場面によって使い分けられることが最終目的になりますが、効率よく覚えるには段階を踏んで覚えることをお勧めします。
例えばテニス初心者がスライスボレーを初めに習ってしまうと、スライス回転は下記画像のようにラケットを下げながらインパクトするので、ラケットにボールを上手く当てることが出来なくなってしまうからです。
テニスの経験が浅い段階では、ラケットの真ん中に当てる「確率を上げる」ことを最優先します。
レベル別による導入の目安
ボールの種類 | ラケットの動作 | |
初級 | フラット | 芯を捉える練習 |
初中級 | フラット | 狙う練習 |
中級 | フラット+スライス導入 | スライスの動作練習+狙う練習 |
中上級 | スライス+フラット | スライスで狙う練習 |
上級 | スライスメイン+フラット | 狙う練習+使い分け練習 |
回転しない「フラットのボール」
メリット
- フラットボールは、ラケットの真ん中に当てやすくボールを飛ばしやすいので、テニス経験が浅い人には導入しやすい球筋です。
- ボールを飛ばしやすい分、ボールにスピードが出やすいため、ネット近くからチャンスボールを叩いて決めるときにも使います。
- ラケット面の使い方が(スライスのように)ボールをガットに滑らせるような難しい動作をしないため、身体から離れた(遠い)ボールや、失敗のリスクが高いローボレーやハーフボレーなどの難しいボールを確実に返球したい場合にも最適です。
デメリット
- ボールが回転していないので、ボールがコートに収まろうとする空気抵抗が生まれないため、ネットから離れた位置からの攻撃では、ネットの通す高さが限られるため不安定なボールになりやすい。
- 普通に返球するだけのボールは、バウンドしてから普通に弾むので、ストロークの相手が(苦にならないで)楽に返球しやすい球筋になる。
- レベルが上がるに連れて、返球するストローク側が攻撃しやすいボールになってしまうのです。
回転する「スライスのボール」
メリット
- 回転により空気抵抗が生まれてコートに収まりやすいため、(フラットよりは)ネットの通す高さが広い範囲でもコートに収まる。
- 回転の影響で、バウンドしてからボールが通常と異なる(滑るような)弾み方をするので、相手が返球しにくい球筋になる。
デメリット
- テニス経験が浅い人にはラケットに当てにくい。
- 正しい動作を身につけないと、ボールをカットするだけの不安定なボレーになりやすい。
- 低いボールや身体から離れた遠いボールにはリスクがある。
フラット・スライス回転の大まかな使い分け
フラットとスライス回転の使う部分を大まかに分けると、下記画像のように黄色い枠がスライス回転で赤い枠がフラットで返す部分です。
フラットは外側の赤い枠なので、基本的にスライス回転の動作がやりにくい場所で、手を伸ばした「遠いボール」や、失敗のリスクがある「低いボール」など、守りのボールを確実に返球する場合に使います。
逆に黄色い枠のスライス回転は、良い体勢の状態で打つことが出来る「打ちやすいボール」がメインで使用します。
ただ、スライスの使い方に慣れてくると、バックハンドは更に低いボールもスライスで打つことが可能です。
上記画像はフェデラーのスライスボレーです。胸の高さとおへその高さのボールを、ボールの少し上から入り、ラケットが下がりながら最後に上に上げるスイングでスライス回転をかけています。
テニスのボレーはフラットで打つの?スライス回転で打つの? まとめ
- ボレーは、フラットもスライス回転も両方使えた方が良い。
- フラットとスライス回転の特長を、いいとこどりして使い分ける。
- フラットとスライス回転を覚えるには、段階を踏んで身につける。
- 使い分けの目安として、打ちやすいボールはスライス回転で、遠いボールや低いボールはフラットで返球する。
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